ルカパリブ カムシル酸塩

CAS番号 1859053-21-6
分子式 C₂₉H₃₄FN₃O₅S
分子量 555.67 g/mol
純度 ≥99.0% (HPLC)
外観 白色〜オフホワイトの固体粉末
剤形(参考) 200mg錠・300mg錠(Rubraca®)

製品説明

ルカパリブ カムシル酸塩(Rucaparib camsylate、開発コード:AG-014699、PF-01367338、CO-338)は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)を強力に阻害する経口小分子化合物です。Clovis Oncology社が開発し、商品名Rubraca®として販売されています。

化学構造上は、8-フルオロ-2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-1,3,4,5-テトラヒドロ-6H-アゼピノ[5,4,3-cd]インドール-6-オンの(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸塩(カムシル酸塩)です。カムシル酸(樟脳スルホン酸)との塩形成により、溶解性と製剤化適性が向上しています。

ルカパリブはPARP-1に対してKi値1.4 nMという極めて高い阻害活性を示し、PARP-2およびPARP-3に対しても強力な阻害作用を持ちます。2016年12月に米国FDA(食品医薬品局)により、有害なBRCA変異(生殖細胞系列および/または体細胞)を有する進行卵巣がん患者の治療薬として初めて承認されました。2020年5月には、前立腺がん(去勢抵抗性転移性前立腺がん)への適応拡大も承認されました。

作用機序は合成致死性(synthetic lethality)に基づきます。PARPは単鎖DNA切断の修復に必須の酵素ですが、ルカパリブによりPARP活性が阻害されると、DNA損傷が蓄積し、複製時に二重鎖切断が生じます。BRCA1/2変異等により相同組み換え修復(HR)機能を欠くがん細胞では、この二重鎖切断を修復できず、ゲノム不安定性と細胞死(アポトーシス)が誘導されます。一方、正常細胞ではHR経路が機能するため、選択的な抗腫瘍効果が発揮されます。

2017年1月16日に設立された青島シグマ化学有限公司は、国際的な総合交通拠点都市である青島に位置し、黄河沿いおよび環太平洋地域の西海岸に位置する国際貿易港および積み替え拠点である青島港に隣接しています。青島シグマ化学有限公司は、精密化学原料の製造・販売に注力しています。チームメンバーは山東大学、中国海洋大学、青島科技大学出身で、化学業界における豊富な経験を有しており、お客様に専門的な化学原料供給サービスを提供することが可能です。

用途・特性

物理化学的特性

  • 化学名: 8-Fluoro-2-{4-[(methylamino)methyl]phenyl}-1,3,4,5-tetrahydro-6H-azepino[5,4,3-cd]indol-6-one (1S,4R)-7,7-dimethyl-2-oxobicyclo[2.2.1]heptane-1-methanesulfonate
  • 別名: AG-014699, PF-01367338, CO-338, Rubraca®, ルカパリブ 樟脳スルホン酸塩
  • 分子式: C₂₉H₃₄FN₃O₅S(C₁₉H₁₈FN₃O・C₁₀H₁₆O₄S)
  • 分子量: 555.67 g/mol
  • 外観: 白色〜オフホワイトの固体粉末
  • 構造分類: トリサイクリック・インドール・アゼピノン誘導体、PARP阻害剤
  • 投与経路: 経口(錠剤)
  • 標準用量: 600mg 1日2回(b.i.d.)
  • 半減期: 17〜19時間
  • 生体利用率: 約36%(空腹時)
  • 主要代謝酵素: CYP2D6、CYP1A2、CYP3A4
  • 保管条件: 粉末:-20℃(3年間安定)、溶媒中:-80℃(6か月間安定)

作用機序

ルカパリブは以下のメカニズムにより抗腫瘍作用を発揮します:

  • PARP阻害: PARP-1(Ki 1.4 nM)、PARP-2、PARP-3を強力に阻害し、単鎖DNA切断修復を阻害します。PARP-4、PARP-10、PARP-12、PARP-15、PARP-16にも部分的な親和性を示します。
  • 合成致死性: BRCA1/2変異や相同組み換え欠損(HRD)を有するがん細胞では、PARP阻害により生じた二重鎖DNA切断が修復されず、細胞死が誘導されます。正常細胞ではHR経路が機能するため、選択的な細胞毒性が実現されます。
  • PARPトラッピング: DNA上へのPARP固定化(PARP trapping)により、複製フォークの進行が阻害され、DNA損傷が増幅されます。
  • 化学増感・放射線増感: テモゾロミド、プラチナ製剤等のDNA損傷性化学療法薬や放射線治療の効果を増強します。
  • NF-κB阻害: DNA損傷応答におけるNF-κBの活性化を阻害し、放射線増感作用に寄与する可能性があります。

臨床試験成績(参考データ)

  • 卵巣がん(ARIEL2試験): 再発プラチナ感受性高悪性度漿液性卵巣がんにおいて、BRCA変異群で客観奏効率(ORR)80%、無増悪生存期間(PFS)中央値12.8か月。HRD-LOH高値群でもORR 29%、PFS中央値5.7か月と有意な効果が認められました。
  • 卵巣がん維持療法(ARIEL3試験): プラチナ製剤化学療法後の維持療法として、BRCA変異群でPFS中央値16.6か月(プラセボ群5.4か月、HR 0.23)と著明な延長が認められました。
  • 前立腺がん(TRITON2試験): BRCA変異陽性去勢抵抗性転移性前立腺がん(mCRPC)において、客観奏効率44%、奏効持続期間の中央値は評価不能(6.4か月以上)でした。
  • 前立腺がん(TRITON3試験): BRCA変異陽性mCRPCにおいて、ルカパリブ群の放射画像PFS中央値11.2か月に対し、対照群6.4か月(HR 0.50、p<0.0001)と統計的に有意な改善が認められました。

用途

  • 医薬品原薬(API): 卵巣がん、卵管がん、腹膜がん、前立腺がん治療薬の有効成分として、製剤化・配合の原料として使用されます。
  • 医薬品中間体: PARP阻害剤類似化合物の合成出発物質、構造活性相関(SAR)研究、新規PARP標的化合物のスクリーニングに使用。
  • 臨床試験用標準物質: 医薬品開発における品質管理、含有量測定、不純物プロファイル解析、体内動態(PK)・薬力学的(PD)解析のための参照標準物質。
  • 基礎医学研究: DNA損傷応答機構、相同組み換え修復(HR)、合成致死性、PARPトラッピング機構、化学増感・放射線増感メカニズムに関する研究に利用。
  • バイオシミラー・後続品開発: 原薬の特性評価、バイオアナロジー性試験、製造プロセス開発のための参照物質として使用。

安全性と取り扱い

  • 通常の実験室条件下では安定ですが、吸入・誤飲を避けてください。
  • 眼・皮膚に対する刺激性が認められるため、保護手袋・保護眼鏡を着用してください。
  • 粉塵の発生を抑え、換気の良い場所で取り扱ってください。
  • 密閉容器に保管し、吸湿・光を避け冷暗所(推奨-20℃、短期は2〜8℃)で保存してください。
  • 強酸化剤、酸・塩基とは区別して保管してください。
  • 大量に取り扱う際は防塵マスクを着用し、局所排気装置を使用してください。
  • 緊急時は医師の診断を受け、安全データシート(SDS)を参照してください。

製品使用上の注意(医薬品開発・臨床試験の参考情報)

  • 骨髄抑制: 臨床試験では、貧血(全グレード41%、グレード3/4 29%)、好中球減少(グレード3 29%)、血小板減少(グレード3/4 14%)が報告されています。定期的な血液検査が必要です。
  • 肝機能障害: AST/ALT上昇(グレード3/4 12%)が認められます。肝機能モニタリングが推奨されます。
  • 消化器系副作用: 悪心(55%)、嘔吐(23%)、下痢(13%)、食欲不振(11%)等が報告されています。
  • 疲労・倦怠感: 疲労(41%)、倦怠感(35%)が比較的頻繁に認められます。
  • 骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病(MDS/AML): PARP阻害剤クラス全体として、MDS/AMLのリスクが報告されています。長期使用患者では血液学的モニタリングが必要です。
  • 胎児毒性: 胎児への有害性が認められているため、妊娠中および授乳中の使用は禁忌です。有効な避妊が必要です。
  • 薬物相互作用: CYP2D6、CYP1A2、CYP3A4の基質です。CYP3A4強力な誘導薬(リファンピシン等)との併用は避けてください。高脂食はAUCを38%増加させる可能性があります。

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